せいろのある暮らし、憧れますよね。蓋を開けた瞬間にふわりと広がる杉や竹の甘い香り。視界を白く染める柔らかな湯気、そしてその奥でツヤツヤに輝く食材たち。
それは単なる調理ではなく、五感を満たす「儀式」のような時間です。
「スペック」だけでは分からない、こうした五感が喜ぶ「心地よいシグナル(音)」こそが、道具選びの大切な基準だと、私は考えています。
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でも、いざその生活を始めようとしたときに、ふと現実に引き戻されるのが「蒸し板(受け台)」の問題ではないでしょうか。
「たかが金属の輪っかに、なんで2,000円も払わなきゃいけないの?」「せいろ本体を安く手に入れたのに、付属品の方が高いなんて、なんだかバランスが悪い気がする…」
そう感じて、できればダイソーやセリアといった100均、あるいはお値段以上のニトリや無印良品で安く済ませたいと考えるのは、消費者としてごく自然な心の動きだと思います。
専用の蒸し板はどこで売ってるのかもよく分からず、探しても見つからないもどかしさから、思わず売り場の棚を睨みつけてしまった方もいるかもしれません。
また、次のような疑問が次々と浮かんでくるかもしれません。
- 専用品を買わずに、家にあるステンレス製のザルやアルミホイルで代用できないか
- 手持ちの鍋に合うサイズは、どうやって選べばいいのか
このように、頭の中が疑問符だらけになってしまってはいないでしょうか。
- 100均やニトリを探し回っても理想の蒸し板が見つからない物理的な理由
- ザルやアルミホイルでの代用が招く「火傷のリスク」と「味への悪影響」
- 手持ちの鍋とせいろにジャストフィットするサイズの正確な測り方
- 結局は専用メーカーの蒸し板を買うことが最もコスパが良い理由
100均やニトリに「せいろ用蒸し板」はある?代用の現実とリスク
刃音録ーイメージせいろを手に入れたら、すぐにでもあの温かい蒸し料理を楽しみたい。でも、いざ家の鍋に乗せてみたら、カタカタと不安定な音がしたり、鍋の中にポチャンと落ちてしまったり。
そんなときは、まず「近場のショップで解決策を探そう」とします。「ダイソーになら何かあるはず」「ニトリなら気の利いたグッズがあるはず」と、期待に胸を膨らませて。
ここでは、ちょっと残念な現実と、代用することのリスクについて、まずは包み隠さずお伝えします。
ダイソーやセリアに「専用の受け台」は売っていない
刃音録ーイメージまず結論から言ってしまうと、ダイソー・セリア・キャンドゥといった主要な100円ショップには、せいろを鍋に乗せるための「ドーナツ型の蒸し板(受け台)」は販売されていません。(2025年現在、私の知る限りにおいて)
キッチン用品売り場に行くと、「ステンレス蒸し器」という商品は見つかります。皆さんも見たことがあるかもしれません。
ステンレスの板が何枚も重なっていて、蓮の花のように開閉するタイプのものです。あるいは、脚がついた丸い金網のようなものもあります。
これを見て「お!これでいけるんじゃないか?」と手に取り、金属の冷たい感触を確かめた方も多いでしょう。
あなたが探しているのは、「鍋とせいろの間に挟んで、直径の違いを埋めるアダプター」としての蒸し板ですよね。
残念ながら、その用途に耐えうる強度の商品は100均には存在しませんでした。
なぜ100均にないの?製造上の「壁」
「需要があるなら作ればいいのに」と思いますよね。でも、そこにはズバリ、「製造コストの壁」があるんです。
せいろ用の蒸し板を作る工程を想像してみてください。
- 熱に強く錆びにくい、ある程度の厚みがあるステンレス板を用意する
- それを直径25cm〜30cmほどの大きな円形にプレスしてくり抜く
- さらに中央を丸くくり抜いてドーナツ状にする。(この時点で材料のロスが出ます)
- 一番重要なのが、外側と内側のフチでユーザーが手を切らないように、金属をくるっと巻き込む「カール処理」や研磨加工を施すこと。
指先で触れたときに「痛くない」と感じる滑らかさを実現するには、相応の金属量と加工の手間がかかります。
昨今の金属価格が高騰している中で、これだけのコストをかけて100円(あるいは300円・500円)で販売し、利益を出すのは、物理的にかなり厳しいのが現状でしょう。
だから、今後も100均で「本物の蒸し板」が登場する可能性は低いと私は見ています。
ニトリでの単体購入は難易度が高い(在庫とセット販売の罠)
「それなら、『お、ねだん以上。』のニトリならあるだろう」と思いますよね。
私もそう思って探しました。確かにニトリには、せいろと鍋をフィットさせる優秀な製品が存在します。Webサイトなどで見かけたことがある方もいるかもしれません。
しかし、ここにも意外な落とし穴があり、私が店舗を回った際も徒労に終わることが多かったです。
1. 「セット販売」が主流であること
ニトリの店頭では、基本的に「せいろ本体(竹製や杉製)」と「受け台(蒸し板)」、さらに場合によっては「鍋」までがセットでディスプレイされていることが多いです。
これは初心者には親切な仕組みでしょう。しかし、「せいろだけ持っていて、板だけ欲しい」というユーザーにとっては、困った事態です。
具体的には、以下のようなケースです。
- 売り場に「受け台単体」の在庫が見当たらない
- 店員さんに聞いても「セット品の一部として扱われている」と言われる
2. 在庫状況が非常に流動的
せいろや鍋料理関連のグッズは、どうしても秋冬の季節商品として扱われる傾向です。
そのため、春や夏に探そうとしても店頭から姿を消していたり、秋冬であっても人気商品ゆえに在庫切れを起こしていたりします。
「ニトリまでわざわざ車を出して行ったのに、結局空振りだった」という経験をした方も、多いかと思います。
コストパフォーマンスの視点
ニトリ製品は確かに安価で魅力的ですが、必ずしも「ニトリで探すこと」が最適解とは言えません。店舗を回るには、以下のようなリスクやコストが伴うからです。
- 何軒も回るための時間
- 移動にかかるガソリン代
- 結局手に入らずに帰ってくる可能性
これらを考慮すると、他の手段も検討する価値があるのではないでしょうか。
とくに蒸し板のようなニッチな道具は、最初から在庫が確実な専門店やネット通販を頼るほうが、結果的にタイムパフォーマンスが良いことが多いのです。
ザルやアルミホイルは代わりになる?
刃音録ーイメージ専用品が手に入らない、あるいは高くて買いたくないとなると、次に私たちが試みるのが「ブリコラージュ(ありあわせの道具での代用)」です。
よくあるのが、アルミホイルを細長く丸めてドーナツ状の土手を作り、それを鍋のフチに乗せてせいろを置く方法。そして、大きめのザルを鍋とせいろの間に噛ませる方法です。
これらについて、実際にやってみた感想を正直に言います。「一応蒸せるけど、料理中のストレスが半端ない」です。そして何より、「危険」です。
グラグラする「触覚の不安」と火傷リスク
まず、アルミホイルで作ったリングは強度が足りません。食材をパンパンに詰めたせいろは、水分を含んで1kg近い重さになることもあります。
調理中にグニャッと潰れてバランスを崩し、熱湯がグラグラ煮えたぎる鍋の上でせいろが傾く…。その不安定な揺れを見るたび、心臓がヒヤリとします。
蒸し料理は大量の熱湯を使います。もしせいろが転倒して熱湯を浴びたら、大火傷に繋がりかねません。
代用品を使うことは、常にこの「いつ崩れるかわからない」という不安を感じ続けながら料理をすることです。
隙間だらけで「味が落ちる」
そしてもう一つ、道具好きとして見逃せないのが「味の劣化」です。
代用品だと、どうしても鍋とせいろの間に隙間ができてしまいます。蒸し料理の命は「蒸気圧」です。
せいろ内部の圧力が高まらず、温度も上がりきりません。結果、蒸し上がりにムラができたり、時間がかかって食材がベチャッとしたり、あるいは生焼けになったりします。
「せっかくせいろを使ったのに、なんか美味しくない…」となってしまっては、本末転倒ですよね。
【絶対NG】プラスチック製ザル・ボウルの危険性
100均でよく売られているプラスチック(ポリプロピレン等)のザルを、蒸し板代わりや蒸し器として使うのは絶対にやめてください。
多くのプラスチックの耐熱温度は100℃〜120℃程度ですが、鍋肌や高温の蒸気が当たる部分はそれ以上の温度になることがあります。
変形して鍋の中に落ちるだけでなく、表示された耐熱温度を超えての使用は、容器が溶けたり、有害な煙が発生したりする原因となりかねません。
国民生活センターにも、耐熱温度を超えた加熱により「容器の底が溶けた」「発煙した」といったトラブル事例が報告されており、注意を呼びかけています。
決められた温度を守れない「用途外」の使い方は絶対に避けましょう。
フライパンでは空焚きのリスクが高まる
家にちょうどいい深鍋がないからといって、フライパンにアルミリングや割り箸を置いて代用しようとするのも要注意です。
フライパンは浅いので、当然ながら「貯められる水の量」が圧倒的に少ないですよね。蒸し料理は私たちが思っている以上に大量の蒸気を必要とします。
強火でガンガン蒸していると、フライパンの水なんてあっという間(体感で5〜10分程度)に蒸発してしまうんです。
ちょっと目を離して、他の料理の準備をしている間に水がなくなっていて、気づいたときには独特の焦げ臭い匂いが漂ってくる…。そう、「空焚き」です。
空焚きが招く「二重の損失」
空焚きをしてしまうと、以下のような悲劇が起こります。
- フライパンの死: テフロンなどのコーティングが高温で劣化・剥離し、フライパンが使い物にならなくなります。
- せいろの死: 鍋の水がなくなると、鍋底の熱が直接せいろに伝わります。乾燥した木材や竹は非常に燃えやすいため、あっという間に底が焦げて炭化し、最悪の場合は引火します。
数百円の蒸し板代をケチった結果、数千円のせいろと、愛用していたフライパンを同時にダメにしてしまう。
これこそが、私たちが一番避けたい「安物買いの銭失い」の典型例かなと思います。このリスクを負ってまで代用するメリットは、正直どこにもありません。
リスクを冒すくらいなら、2,000円で安心を買ったほうが早いです。私が最終的にたどり着いた『正解』はこれでした。↓
100均やニトリで代用せず「せいろ専用の蒸し板」を買うべき理由
刃音録ーイメージここまで、代用のリスクやデメリットばかりをお話ししてしまい、少し不安にさせてしまったかもしれません。でも、裏を返せば解決策はとてもシンプルなんです。
「えー、やっぱりお金かかるのか…」と思われるかもしれませんが、長い目で見ればこれが結果的に最も安く済みますし、何より安全で、料理が格段に美味しくなります。
専用の蒸し板は、単なる金属の板ではありません。
熱源からせいろを守り、蒸気の流れをコントロールする、計算され尽くした「精密機器」なんだと気づきました。
たった1枚で世界が変わる!北陸アルミニウムを選ぶメリット
私が自信を持っておすすめできるのが、Amazonや楽天市場などでも非常に評価が高い「北陸アルミニウム」や「パール金属」といった専門メーカー製の蒸し板です。
カチッとハマる、圧倒的な「安定感」
一番の違いは、その形状です。専用品は、鍋のフチにしっかりと噛み合うように、精巧な段差(ステップ)が設計されています。
この段差が鍋に吸い付くようにフィットし、さらに中央の穴の周りにある立ち上がりがせいろをガッチリと受け止めます。
せいろを乗せても、ちょっとやそっとではビクともしません。「カチッ」とハマるその音と感触は、調理中の不安を払拭してくれます。
グラグラする恐怖におびえることなく、安心して火から目を離して他の作業ができる。この「心の余裕」は、不安定な代用品では決して味わえないものでしょう。
料理中のストレスがなくなるだけで、蒸し料理の頻度が劇的に上がりますよ。
プロも認める「素材」の力
また、多くの専用品は熱伝導率の良いアルミニウムに、耐久性を高める「アルマイト加工」が施されています。
ステンレス製のものも清潔で良いですが、アルミ製のものは熱周りが良く、板自体がしっかり熱を持つことで、食材への熱の入り方がスムーズになる感覚があります。
錆びにも強く、タフに使える一生モノの道具と言えるでしょう。
【注意】取っ手が邪魔な「両手鍋」はNG!正解はフライパン
刃音録ーイメージここで一つ、選び方で絶対に失敗してほしくない、かなり重要なポイントがあります。それは、「鍋の取っ手(持ち手)」との干渉問題です。
「蒸し板は鍋の中に入るサイズだから、外の取っ手は関係ないでしょ?」と思われるかもしれません。
そのため、シチューなどを煮込む「両手鍋(キャセロール)」のように、持ち手が鍋のフチよりも上に飛び出しているタイプだと、板の端が持ち手にぶつかってしまい、鍋のフチまで届かず浮いてしまうのです。
これでは蒸気がダダ漏れで使い物になりません。
解決策:家にある「フライパン」を使おう
わざわざ専用の鍋を買う必要はありません。どこのご家庭にもある「深型のフライパン(26cmなど)」や「片手鍋」を使ってください。
フライパンなら取っ手が横に伸びているため、蒸し板が干渉することなく、ピタッと安定して乗せられます。
「手持ちの鍋が合わない…」と悩んでいる方は、ぜひフライパンで試してみてください。驚くほど快適になりますよ。
\私が厳選したおすすめフライパンはこちらです。/
蒸気漏れを防ぐ!短時間で美味しく蒸すための機能美
工学的に見ても、専用の蒸し板は非常に理にかなった構造をしています。
1. 蒸気の「ノズル効果」
蒸し板の中央にある穴は、ただの穴ではありません。
鍋全体から立ち上る広範囲の蒸気を、この穴でギュッと収束させ、ジェット気流のように勢いよくせいろ内部へ送り込む役割を果たしています(ノズル効果)
これにより、せいろ内部の蒸気密度が一気に高まり、短時間で食材の中心まで熱が通ります。
専用板を使うと野菜は甘く、お肉はジューシーに仕上がるのは、蒸し板を使った効果なのです。
2. 熱源からの「断熱バリア」
そしてもう一つ重要なのが、熱源からせいろを守る「盾」としての機能です。ガスコンロの炎は鍋の外側を巻き上げて上昇します。
IHでも強い輻射熱が発生します。せいろ(木や竹)を直接鍋に乗せると、この熱が直撃してフチが焦げてしまうことがよくあります。
蒸し板は、鍋よりも外側に張り出すことでこの熱を遮断し、大切なせいろが焦げるのを防いでくれるのです。
つまり、蒸し板を使うことは、大切なせいろの寿命を延ばすための「保険」に入るようなもの。
数千円のせいろを何年も使い続けるためと考えれば、2,000円の蒸し板代は決して高い投資ではありません。
失敗しないサイズの選び方(外径と内径の黄金比)
「よし、専用品を買おう!」と決心した方へ。最後に、サイズ選びだけは慎重にいきましょう。
「なんとなく合いそう」でポチると痛い目を見ます。以下の「黄金ルール」さえ守れば失敗しません。
| 失敗しない選び方 | ||
|---|---|---|
| チェック項目 | 選び方のルール | 具体例 |
| 対 鍋(外径) | 蒸し板の「外径」は、 鍋の「内径」より大きくなければならない |
内径24cmの鍋を使うなら、 外径26cm以上の板が必要。 (鍋の中に落ちないため) |
| 対 せいろ(内径) | 蒸し板の「穴の径」は、 せいろの「直径」より小さくなければならない |
21cmのせいろを使うなら、 穴の径は18〜19cmが理想。 (せいろが穴に落ちないため) |
とくに注意すべきは「鍋の内径」です。蒸し板は鍋の「上に乗る」ものなので、鍋の口よりも一回り大きいサイズを選ぶ必要があります。
逆に、せいろに対しては、穴が大きすぎるとせいろがドボンと落ちてしまうので注意してください。
多くのメーカー品は、これらを考慮して「○cm〜○cmの鍋用」「○cmのせいろ用」と親切に記載してくれています。
せいろに直接食材を乗せるとくっついてしまいますが、ここでも「クッキングシート」の使い方にコツがあるのをご存知ですか?
実は、せいろで使うクッキングシートには「穴を開けてはいけない」という意外な事実や、もっと便利な代用品があるんです。
せっかくの蒸し料理を失敗しないためにも、クッキングシートの使い方について知っておきましょう。
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【結論】せいろ蒸し板は100均・ニトリ・代用より「専用品」が正解
刃音録ーイメージ100均グッズや家にあるものでなんとか代用しようとする工夫、その「もったいない精神」自体は素晴らしいことですし、私も大好きです。
でも、こと「せいろ」に関しては、代用のリスクが大きすぎると私は痛感しました。
- グラグラする恐怖におびえ、蒸気漏れを気にしながら、イマイチな蒸し料理を作るか。
- 専用品のカチッとした安定感の中で、立ち上る美しい湯気を眺めながら、心からリラックスして豊かな時間を過ごすか。
2,000円ほどの投資で、この先何年も「安全」と「美味しさ」、そして「心の安らぎ」が手に入るとすれば、それは決して高い買い物ではないはずです。
せいろを黒焦げにして買い換えるコストや、失敗した食材のコストを考えれば、今すぐ専用の蒸し板を手に入れることこそが、最も賢い節約術ではないでしょうか。
ぜひ一度、お手持ちの鍋とせいろのサイズを測ってみてください。そして、そのサイズに合う専用プレートを検索してみてください。
それが、「丁寧な蒸し活」を長く、安全に楽しむための本当の第一歩になるはずです。

