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なぜ「せいろの上の段に火が通らないのか」やりがちなNGな並べ方

キッチンのコンロで二段重ねのせいろを調理中、上の段の蓋を開けて中身が生焼けであることに気づき、困った表情を浮かべる女性。下の段は食材が詰め込まれている。
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こんにちは。刃音録、運営者の刃音(はね)です。

楽しみしていたせいろ料理。蓋を開けてみたら、下の段はほかほかなのに、なぜかせいろの上の段だけ火が通らない……。

刃音(はね)

そんな経験をして、食事の準備中に焦ってしまったことはありませんか?

しっかりお湯を沸かしているはずなのに、2段目の食材が生煮えだったり、そもそも思ったように湯気が出ない状態だと「使い方が間違っているのかな?」と、不安になりますよね。

実はその原因は、火加減だけではありません。以下の理由から「蒸気の通り道」が塞がれ、うまく蒸せない状態を作っていることが多いのです。

せいろの下段に食材が詰まりすぎて蒸気の壁ができ、上段に熱が届いていない失敗例の図解
  • クッキングシートの敷き方:シートが網目を塞ぎ、蒸気を遮断している
  • 食材の並べ方:隙間がなく、蒸気が上まで通り抜けられない
  • 蒸気の循環不足:これらによって庫内の対流が止まっている

この記事では、せいろ調理のコツを余すことなく解説します。 まずは、今すぐ試せるリカバリー方法をお伝えし、上の段に火が通らないトラブルを解決。

あわせて、失敗を防ぐための「野菜や肉の蒸し時間一覧」も用意しました。 さらに「蒸しすぎると食材はどうなるのか」といった、初心者の方が抱きやすい疑問にもお答えします。

これらを順に読み進めることで、蒸気の通り道をマスターし、上下どちらの段もふっくらと仕上げられるようになるはず。

刃音(はね)

蒸気の通り道をマスターして、上下ともふっくら仕上げるコツを持ち帰ってください。

カタログの「スペック」よりも、グツグツ、シューッという「心地よい音」こそが、長く付き合える道具の証だと私は信じています。

(当ブログの理念「音の羅針盤」については「キッチンツールが奏でる音の羅針盤」の記事をご覧ください。)

この記事でわかること
  • 上の段を救う緊急対応の手順
  • 上だけ生焼けになる本当の原因
  • 蒸気の通り道を作る並べ方のコツ
  • 火が通ったかを音とサインで判断する方法

せいろの上の段に火が通らないときの緊急対応

湯気が立つせいろの中で、菜箸を使って豚肉やブロッコリーを寄せ、中央に蒸気の通り道となる隙間を作っている手元のアップ。

「今すぐ温かいごはんを家族に出したい」と、焦っているあなたへ。

火加減をいじる前に、まずはせいろの中の「風通し」を良くしてあげましょう。滞っていた熱がスッと上に抜けた瞬間、驚くほど状況は好転しますよ。

上下入れ替えで蒸し直し

上の段が生焼けなら、迷わず上下の段を入れ替えて、3〜5分だけ延長戦をしてください。これだけで解決します。

の段が生焼けなら、迷わず
刃音(はね)

「本当にそれだけ?」と拍子抜けするかもしれませんが、この単純さがせいろの最大の魅力です。

下の段は、沸騰する鍋の真上に位置する特等席。蒸気の量も温度も桁違いです。一方、上の段に届く蒸気は、下の食材を温めた後の「残り湯」のようなもの。

もし下の食材が冷え切っていると、そこで熱が使い果たされ、上まで余力が残っていないことが多いのです。

入れ替えとは、その不公平をなくし、元気な蒸気を未完成の食材へたっぷり浴びせ直す作業。これが一番確実で、失敗のない立て直し方です。

このとき、焦ってガチャガチャと音を立てると、せっかくの蒸気が逃げてしまいます。「焦ったときほど丁寧に」と自分に言い聞かせ、丁寧に手を動かしてくださいね。

入れ替えの手順(私の固定ルーティン)

目安:入れ替え+3〜5分(あくまで一般的な目安です。食材の厚みや量で変わります)

  • 火は止めない(蒸気を維持したまま短時間で)
  • 布巾やミトンで側面を持って、蓋は最小限に持ち上げる
  • 上段を外して横に置く(置き場に皿か鍋敷きを用意)
  • 下段を上に移し、外した上段を下に戻す
  • すぐ蓋をして、3分→様子→必要なら+2分

もし「入れ替えてもまだ固い」のなら、それは時間の問題ではなく、食材の並べ方で「蒸気の道」を塞いでしまっている可能性が高いです。

無理に時間を延ばすより、食材の「配置」を少し変えるだけで、すんなり火が通るようになります。

入れ替え時は蒸気が一気に噴き出します。やけどの危険があるので、顔を近づけない・小さなお子さんがそばにいない状態で作業してください。

蓋は開けず追加で蒸す

心配で蓋を開けそうになる手を止めて、タイマーで3分計って待つイラスト

心配になって何度も蓋を開けたくなりますが、そこはグッと我慢です。せいろの中は、蒸気が充満し、静かに圧力がかかっている状態がベスト。

蓋を開けるたびに熱気が逃げ、食材への火通りが悪くなってしまいます。

刃音(はね)

私は追加で蒸す際、必ずタイマーを使います。

感覚で「もういいかな」と何度も開けるより、「あと3分は信じて待つ」と決めた方が、結果的に早く、おいしく仕上がるからです。

短く時間を区切れば、蒸しすぎの心配もありません。

追加蒸しのときにやりがちな失敗

焦っているときほど、良かれと思ってやってしまう行動が逆効果になることがあります。とくに、追加で蒸し直す際には以下の3つのポイントに注意してください。

  • 蓋を何度も開けて、温度を落としてしまう
  • 蒸気が弱いのに時間だけ伸ばしてしまう
  • 鍋の水が減っているのに気づかず、蒸気が途切れる

とくに怖いのが、鍋の水切れです。蒸し直しは予定外の延長戦。鍋の水が減り、蒸気の音が弱くなっていることに気づかず加熱を続けると、空焚きして鍋をダメにしてしまいます。

「追加蒸し」を決めたら、まずは耳を澄ませて鍋の音を確認し、水を足す。これをセットで覚えておいてください。

「追加で蒸して、食材がクタクタにならないか?」と不安になりますよね。でも野菜に関しては、多少火が通り過ぎても甘みが増し、むしろおいしくなることが多いです。恐れずに蒸してください。

ただ、お肉(シュウマイや薄切り肉)だけは、加熱しすぎるとパサパサになってしまうので、そこだけは少し気にかけてあげてください。

蓋を開けずにどうやって中の状態を知るのか。それは、せいろが発する「音」と「湯気の姿」が教えてくれます。

空焚きは鍋や周囲を傷めるだけでなく危険です。加熱中はその場を離れすぎず、異音や焦げ臭さを感じたらすぐ火を弱めて確認してください。

詰め直して隙間を作る

入れ替えを試してもダメなら、原因はほぼこれ(隙間がない)です。下の段に食材をぎゅうぎゅうに詰めすぎて、蒸気が息苦しがっている状態

蒸気は水と同じで、抵抗の少ない「隙間」を選んで流れます。通り道がなければ、いつまで経っても冷たいままです。

刃音(はね)

私はよく、食材を外側に寄せて真ん中に指1〜2本分の「通り道」を作ります。

せいろの中央にある食材を箸で寄せて、指2本分の穴を開けて蒸気の煙突を作る図

ほんのわずかな隙間でも、そこが蒸気の専用道路となり、煙突のように熱を一気に上まで届けてくれるのです。

応急の詰め直し(最短で効くやつ)

  • 下の段だけでもいいので、食材の間に箸1本分の隙間を作る
  • 中央を指2本分くらい空けて、蒸気の通路を作る
  • 重なってる葉物は軽くほどいて、ぺたっと面にならないようにする

とくに葉物や薄切り肉が、底面にべったりと張り付いていると、そこで蒸気の流れが止まってしまいます。

箸でふわっと持ち上げ、立体感を出してあげる。そうすることで、蒸気が食材の間を縫うように流れ始め、全体が生き生きとしてきます。

この詰め直し作業、きれいに並べる必要はありません。焦っているときこそ、「真ん中を空ける」ことだけに集中してみてください。

それだけで、上の段へ届く熱量が劇的に変わります。

目安の考え方:下の段は「蒸す場所」であると同時に、上の段へ熱を届ける「パイプライン」でもあります。ここを完全に塞がないことが、二段蒸し成功の鍵です。

通り道を確保して蓋を閉じたら、あとはせいろからの「合図」を待ちましょう。

蒸気は見た目以上に熱いです。詰め直しは短時間で。箸を使い、手や顔を近づけすぎないでください。

蓋から漏れる湯気の勢い

成功のサインは、蓋を開けるよりも早く、目と耳に届きます。ポイントは、蓋の隙間から勢いよく「シューッ」と白い湯気が吹き出しているか。

刃音(はね)

この姿が見えれば、せいろの中は豊かな蒸気で満たされ、健全な状態に戻っています。

逆に、上の段が生焼けのときは、この湯気が弱々しかったり、変な場所から漏れていたりするものです。

耳を澄ませてみてください。鍋の中からはお湯が踊る「ボコボコ」という音、そしてせいろからは蒸気が抜ける「シュー」という音。

この二重奏が聞こえているなら、調理は順調です。

湯気と音でわかる、今の状態チェック

蓋の隙間から勢いよく出る良い湯気のサインと、横から漏れる悪いサインの比較図
サイン 起きていること 今すぐの対処
蓋の隙間からシューッ 蒸気が庫内を満たして上へ流れている そのまま蒸し切る(開けない)
鍋との隙間から、蒸気が外へ漏れ出している 蒸気がせいろに入る前に逃げている 濡れ布巾で隙間を塞ぐ(火気注意)
湯気が弱く静か 蒸気量が足りないか、道が塞がっている 詰め直しで隙間を作る
水滴が多くポタポタ 庫内で結露が増えている 開閉を減らす、蒸しすぎ前に確認

このチェックに慣れてくると、「まだかな?」と不安になって蓋を開ける回数が自然と減ります。

結果として庫内の温度が保たれ、料理がよりおいしく仕上がる。中身が見えないからこそ、こうしたシグナルを感じ取ることが、せいろを使いこなす楽しさです。

せいろの上の段に火が通らない原因と予防

せいろに食材(鶏肉、野菜、きのこ)をドーナツ状に並べた真上からの写真。中央を空けて蒸気の通り道(煙突効果)を確保している正しい配置例。

ここからは、次回の料理をよりスムーズにするためのヒントです。根本的な原因は、火力の強弱よりも「蒸気の通り道」が確保されているかどうかにあります。

高価な道具を使う必要はありません。食材の配置ひとつで、蒸し上がりは劇的に変わります。

詰め込みすぎが通行止めの元凶

先ほどの緊急対応でも触れましたが、やはり最大の原因はここに戻ってきます。下の段の「定員オーバー」です。

ここでは「なぜ詰め込むとダメなのか」、その仕組みを少しだけお話しさせてください。これを知ると、次から並べるときの意識がガラッと変わります。

蒸気は、下の段の食材に触れた瞬間、熱を渡して「お湯(水滴)」に戻ります。

つまり、下の段に食材がぎっしり詰まっていると、そこで蒸気のエネルギーがすべて使い果たされてしまうのです。

下段の食材が多すぎて蒸気が水滴に戻り、上段へのパイプラインが途切れている解説図

上の段に届く頃には、もう食材を温める力なんて残っていません。

次からは「7割ルール」で並べる

下段は蒸気の通路として70%に抑え、上段は80-90%詰めても良いという配置ルール

予防策はシンプルです。「せいろの床面積の3割は空けておく」と決めてしまうこと。

  • 下の段:蒸気の「通路」として、隙間を意識的に広く取る(7割収納まで)
  • 上の段:ここまで登ってきた蒸気を受け止める場所(8〜9割詰めてもOK)

下の段は、上の段のための「熱源」でもあります。「ちょっと隙間が多すぎるかな?」と不安になるくらいが、実は二段蒸しでは正解なのです。

目安の考え方:下の段を犠牲にしてでも隙間を作ることで、結果として二段とも最速で蒸し上がります。「急がば回れ」ならぬ「急がば空けろ」ですね。

中央を空けて煙突効果を活用

隙間を作るといっても、ランダムに空ければいいわけではありません。蒸気の流れをコントロールする「並べ方の型」を覚えましょう。

おすすめは、食材をドーナツ状に並べる「煙突配置」です。ただ真ん中を空けるだけでなく、「食材の厚み」を意識して配置するのがプロのコツです。

蒸気の癖を利用した「最強の布陣」

せいろの中では、蒸気は「中央を昇り、蓋に当たって外側へ降りてくる」という対流を起こします。

  • 中央(煙突エリア):ここだけは食材を置かず、指1〜2本分の隙間を確保して「蒸気の高速道路」にする。
  • 内側(火が通りやすい食材):葉物野菜や薄切り肉など、すぐ火が通るものを置く。
  • 外側(火が通りにくい食材):根菜や厚みのある肉は、蒸気が滞留して温度が安定しやすい外周沿いに並べる。

特別な道具は要りません。ただ「置く場所」を意識するだけ。このフォーメーションを組むだけで、せいろ内の熱効率は劇的に変わります。

クッキングシートが邪魔をしている

意外な落とし穴が、汚れ防止のために敷いている「クッキングシート」や「お皿」です。

せいろの直径と同じサイズのシートをぺらっと1枚敷いていませんか? あるいは、下の段にお皿ごと料理を入れていませんか?

これらは、下から上がってくる蒸気に対して「完璧な蓋(遮断壁)」をしてしまっているのと同じ状態です。

「汚さない」と「蒸す」を両立する3つの正解

野菜を敷く、穴あきシートを使う、個別座布団にするなど、蒸気を遮断しないシートの使い方の図

シートを使う場合は、以下のいずれかの方法で必ず「蒸気の逃げ道」を作ってください。

  • 野菜を敷く(おすすめ):キャベツや白菜、レタスなどをシート代わりに敷きます。野菜の凸凹した隙間から蒸気が通り抜けますし、肉汁を吸った野菜も一緒に食べられて一石二鳥です。
  • 穴あきシートを使う/穴を開ける:市販の「せいろ用シート(穴あき)」を使うのが最も確実です。普通のシートを使う場合は、菜箸やパンチで数か所に穴を開け、蒸気が通るように加工してから使いましょう。
  • 小さく切って「座布団」にする:肉やシュウマイなど脂が出る食材には、食材のサイズに合わせてカットしたシートを個別に敷くのがおすすめです。食材のない部分は網目が露出するので、強力な蒸気の通り道になります。

蒸し板で蒸気漏れを止める

蒸し板(せいろの下に敷く金属プレート)は、単なる台座ではありません。鍋とせいろを密着させ、蒸気を逃さず送り込むための重要なパーツです。

もし鍋とせいろのサイズが合っていなければ、せっかくの熱が脇から逃げてしまいます。

火にかけたとき、せいろの側面からモクモクと湯気が漏れていませんか? もしそうなら、それはエネルギーの無駄遣いです。

本来せいろの中を通るはずの蒸気が外へ逃げているため、当然、上の段への加熱は弱くなります。

音も、「シューッ」という力強い音ではなく、鍋の周りで拡散するような散漫な音になりがちです。

蒸気漏れ・蒸気不足の主な原因
  • サイズの不一致:鍋が小さすぎて、せいろが不安定になっている。
  • 網目の目詰まり:意外と見落としがちですが、以前の調理による脂やデンプンが網目に詰まり、物理的に塞がれていることも。たわしでゴシゴシ洗う感触も、メンテナンスの大切な工程です。
  • 乾燥による隙間:せいろが乾ききって木が縮んでいると、隙間から蒸気が漏れやすくなります。使用前にサッと水で濡らすと、木が膨らんでピタッと密着してくれます。

蒸し板や鍋まわりは高温です。調理中に布巾で隙間を塞ぐなどの応急処置をする際は、火が布巾に移らないよう細心の注意を払ってください。

サイズ合わせは、決して「高級な道具を揃えろ」という意味ではありません。

お手持ちの道具同士が、しっかりと噛み合っているか。そのフィット感を確認するだけで、蒸気の漏れは防げます。

目安:湯気が「せいろの中へ入る」よりも「横へ逃げる」量が多いなら、それは道具からの「組み合わせを見直してほしい」というサインかもしれません。

100均やニトリ等のアイテムを使った賢い選び方については、こちらの記事で詳しく触れています。

せいろの蒸し板の選び方と代用の注意点

湯気が出ないときの予熱

沸騰した鍋から勢いよく湯気が上がっている様子と、側面からの蒸気漏れチェックのイラスト

予熱は、二段蒸しを成功させるための「助走」です。鍋のお湯が沸騰し、勢いよく湯気が上がっている状態。

そこへせいろを乗せた瞬間、「ブワッ」と蒸気が立ち上る。このスタートダッシュが決まれば、上の段まで一気に熱が届きます。

逆に、湯気が弱い状態で食材を入れてしまうと、最初は「蒸し」ではなく「生温かい空間」になるでしょう。

これでは時間が読めなくなり、いつまで経っても火が通らないというストレスの原因になります。

予熱が足りないと起きること

  • 蒸し時間が読めなくなる(いつまで経っても上が固い)
  • 途中で何度も開けてしまい、さらに遅くなる
  • 野菜が水っぽくなる(低温で長く当てると結露が増えやすい)

予熱完了の合図は、目と耳で確認します。鍋の蓋の隙間から勢いよく湯気が吹き出し、鍋の中が「ボコボコ」と音を立てているか。

そこにせいろを乗せた瞬間、庫内の音が「シューッ」と切り替わる。この音の変化を感じたら、調理スタートです。

地味に効く小ワザ(安全にできる範囲で)

  • 鍋の湯量はケチらない(蒸し直しがあっても安心な量を)
  • せいろ本体を軽く湿らせてから使う(木の収縮を防ぎ、密閉性を高める)
  • 冷えた食材ほど、予熱をしっかりしてから入れる

「湯気が出ないから火力が弱い」と思いがちですが、実は「食材を入れるタイミングが早すぎた」というケースも多いんです。しっかりと沸騰させ、蒸気の準備が整ってから食材を迎える。この一呼吸が、二段蒸しの成功率をグッと引き上げてくれます。

ここまで環境が整えば、あとは食材ごとの個性に合わせた時間管理です。

せいろは何分蒸す?失敗しない目安時間一覧

葉物野菜、肉、根菜の蒸し時間目安と、根菜を先に蒸し始める時間差調理の解説図

蒸し時間は、食材の大きさや量、開始時の温度によって変化します。ここでは一般的な目安を紹介しますが、最終的に頼りになるのは、あなたの感覚です。

キッチンごとの環境差もあるので、これらの時間をベースに、微調整を楽しんでみてください。

数値はあくまで一般的な目安です。食材の衛生や安全に関して不安がある場合は、正確な情報は公的機関やメーカーの案内をご確認ください。体調やアレルギー等の事情がある場合、最終的な判断は専門家にご相談ください。

食材 目安時間 おすすめ段 ポイント
葉物野菜(小松菜など) 2〜3分 色が鮮やかになったら早め
ブロッコリー 3〜5分 茎に串が通ればOK
きのこ類 4〜6分 水分が出やすいので詰めすぎない
薄切り肉(豚しゃぶなど) 3〜5分 上〜下 重ねず広げる+中心の色を確認
鶏肉(ブロック) 10〜12分 厚みで変動/中心まで確認
根菜(さつまいも等) 15〜20分 細めに切るほど安定
じゃがいも(くし形) 12〜18分 中心が硬いときは+3分

基本は、火の通りにくい根菜やブロック肉を「熱の強い下段」へ、サッと蒸したい葉物は「穏やかな上段」へ。この配置にするだけで、生焼けトラブルの多くは回避できます。

同時調理を成功させるコツ(時間差スタート)

根菜に15分、葉物に3分かかるとします。これを同時にスタートさせると、葉物はクタクタ、根菜はまだ硬い、という事態になりがちです。

そこで私がよくやるのが「時間差スタート」です。まず根菜を入れた下段だけで10分蒸し、その後に葉物を入れた上段を重ねて残り数分。

これで、最後は同時に熱々の状態で完成します。

時間差の考え方:足並みの揃わない食材たちを、ゴールの瞬間だけ合わせるイメージです。これができると、二段蒸しの段取りがまるでパズルのようにピタリとハマり、とても気持ちいいですよ。

そして最後は、自分の手で完了の合図を確認しましょう。

まだ生焼け?竹串サインで見極める

どれだけ時間を計っても、最終的な判断を下すのは、あなたの目と手です。私は竹串を刺したときの、指先に伝わる感触を何より信頼しています。

見た目では分かりにくい蒸し料理だからこそ、この「触覚」の確認が安心感を生みます。

竹串のチェックポイント

竹串は、食材の中を見通す「潜望鏡」のようなものです。 単に「柔らかいかどうか」だけではありません。

刺した瞬間の手応えと、抜いた直後の温度から、以下のサインを読み取ってください。

  • スッと通る:抵抗なく入れば、中までしっかり火が通っている証拠。
  • 中心で引っかかる:「ガリッ」という硬さを感じたら、まだ早いです。追加で数分蒸しましょう。
  • 水っぽい汁が出る肉:透明な肉汁ならOKですが、濁っている場合は不安が残ります。安全のため延長を。

根菜類はとくに、外側が柔らかくても中心が硬いことがあります。必ず食材の真ん中を刺して確認しましょう。

葉物野菜は、鮮やかな緑色に変わり、しんなりとした佇まいになれば、それが「食べごろ」の合図です。

肉のときは「安全」を優先

お肉の生焼けは食中毒のリスクもあるので、慎重になりますよね。

刃音(はね)

私は「迷ったら蒸す」を鉄則にしています。

厚生労働省の目安(中心温度75℃で1分以上)を意識しつつ、不安な要素があれば時間を足す。それが家庭料理における一番の安全策です。

出典:厚生労働省「家庭での食中毒予防」

食材の衛生・安全に関する判断はご家庭の状況で変わります。心配がある場合は、公的機関やメーカーの案内をご確認ください。

温度計があれば心強いですが、ない場合は竹串を使ったアナログな方法も役立ちます。刺して抜いた直後の竹串を、(火傷しない距離で)手の甲などに近づけてみてください

中心まで熱が通っていれば、竹串全体から確かな熱気を感じるはずです。

湯気の音、立ち上る香り、そして竹串から伝わる感触。五感をフル活用して、「おいしい」の瞬間を捉えてください。

竹串がスッと通った瞬間の気持ちよさは、料理をする人だけの特権です。

せいろの上の段に火が通らないまとめ

上下入れ替え、隙間作り、煙突効果、音の確認など、記事の要点をまとめたイラスト

せいろの二段蒸しで上の段が生焼けになる。その原因の多くは、下の段で蒸気の通り道が塞がれていることにあります。

「中火〜強火」という火力の土台があってこそですが、蒸気が出ているのに蒸せない場合は上下を入れ替え、中央に煙突を作り、葉物野菜や穴あきシートを活用してみてください。

刃音(はね)

それだけで、せいろ内の蒸気はスムーズに循環し始めます。

今日の結論(ここだけ覚えて帰ってOK)

  • まず上下を入れ替えて3〜5分延長
  • 改善しなければ下段を詰め直して隙間を作る
  • 中央を空けて煙突効果を作る
  • 湯気の勢いと音で状態を判断する
  • 最後は竹串サインで決める(肉は慎重に)

最後にもう一つだけ。蒸し直しで時間が延びるときは、空焚きだけ注意してください。水が減っていたら、差し水(お湯がベスト)を行いましょう。

せいろ調理は、焦らず蒸気の道を整えてあげれば、必ずおいしいゴールに辿り着けます。

高い道具を買うよりも、蒸気の通り道を意識すること。この「見えない流れ」を感じ取れるようになれば、せいろはもっと自由で、優しい相棒になります。次からは「上だけ生焼け」というピンチも、きっと冷静に対処できるはずです。

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